まちづくりで一番大切なことは、じぶんのまちを愛するこどもたちをつくること。大学や就職で都会に移り住んだとしても、いつかじぶんの育ったまちに戻り、貢献したいと思う人材をふやすこと。そのためにはこどもの頃に、じぶんのまちってすごい、楽しい、かっこいい、と思えるような記憶や経験をひとつでも多くつくってあげることが、遠回りなようで一番効果的なまちづくりなのだと思う。
山形県鶴岡市の山王商店街は美しい商店街。古くからのお店が軒を並べ、互いに顔の分かるコミュニティが残っているが、高齢化によりシャッターを閉める店も増え、平日の人通りは少ない。 そこで企画したのは、商店街の通りを一夜限りの屋外映画館に変身させ、史上初の「アナログ4D上映」を実現すること。補助金等は一切使用せず、クラウドファウンディングを中心に約120万円の運営費用を集めた。
まちの若者を中心とした運営メンバーが「黒子」となって、映画のシーンに合わせて客席に向かって水をかけると笑いと悲鳴があがり、発泡スチロールと新聞紙のガレキが投げられ、段ボール製の恐竜たちが客席上空を羽をゆらしながら優雅に舞い、こどもたちはそれをつかまえようと走り回った。あっという間の2時間。まるで夢のなかのできごとのようなキラキラした時間だった。
(上映プログラム「ジュラシック・ワールド」)