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人口わずか1500人の岡山県西粟倉村。小さな村にとって公共施設の建て替えは滅多にない大きな出来事です。しかもそれが村唯一の保育園であれば、なおさら重要です。
設計者選定プロポーサルによって受託したぼくたちは、単なる設計監理の仕事としてではなく、完成までの建設プロセス自体をデザインすることで、単なる公共工事を超えて、「村みんなで記憶し語り継がれる物語」になるのではないかと考えました。60代以上の地元の人たちは「子どもの頃は上棟式と言ったら近所でよくもち投げに行ったもんだ。腕いっぱいに抱えて帰ってきたさ。」というのですが、それ以外の多くの人たちは実際に体験したことはありません。
工事が始まり、役場の担当者に「上棟式をやりたい。子供たちが大人になっても覚えていて、自分の子供や孫に語り継ぐようなイベントにしたい。」と伝えたところ、快く賛同してくれました。
工事中の現場に、たった1日とはいえ、たくさんの村人が入ってくることは施工者としては正直面倒なことでしょう。当初懸念を示していた現場の工事関係者たちも、実際に企画が始まると、足場はこの位置に、紅白幕はこんな感じで、、と積極的に楽しんで準備してくれました。DSC_2223s_preview
「工事現場をたくさんのシャボン玉で埋め尽くして、子どもたちの笑顔が見たい。」という僕の個人的な願いを実現すべく(笑)、単なるもち投げではない、いくつかの仕掛けも施されました。DSC_1963s_previewDSC_2035s_preview
当時は強い雨の降る最悪の天気で、場所を変えて体育館でこじんまりやろう、という意見もあったのですが、「これから保育園ができるこの場所でやらないと意味がなかろう」という村長の英断により、雨の中で決行されることになりました。DSC_2135s_preview
開始時間が近づくと、右手に傘をさし、左手にお餅やお菓子を持って帰るためのビニール袋をもった人々が村中から続々と集まりました。「今日だけは泥だらけになってもいいから、一つでも多くのお餅を取ってきなさい。」と背中を叩かれ送り出される子どもたち(笑)のほんとうに楽しそうな、嬉しそうな顔。DSC_2193s_previewDSC_2080s_previewDSC_2285s_preview
雨にも関わらず、願い通りにシャボン玉が工事現場を埋め尽くし、もち投げは子ども部門、大人部門に分かれて盛大に行われました。餅にめがけて飛び回る姿は子どもも大人も変わりませんでしたが。(笑)びしょぬれになりながら、「ほんとうに楽しかった。」「保育園ができるのが楽しみ」という親子や、「もち投げはほんまに久しぶりやったけどいいもんやな。」と帰っていくおじいさん。どしゃぶりの中のもち投げ、という忘れられない記憶が語り継がれ、そのうちまた誰かが「あの楽しかったもち投げをまたやろう」と言い出してくれればそんなに嬉しいことはありません

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