所在地:長野県木島平村
用途:公共複合施設
(工場改修)
構造:鉄骨造地上1階建て
延床面積:1,877.79 m2
撮影:淺川敏、金子俊男
完成:2015年3月

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古い工場を道の駅にリノベーション

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農家の高齢化や輸入農作物の増加といった問題に対し、木島平村は農業の6次産業化を促進させるため2013年に「農の拠点整備事業基本計画」を策定した。さらにこの基本計画に基づき、閉鎖された旧食品加工工場の敷地及び工場建物を取得し、「農の拠点施設」として再生活用することを決め、設計プロポーザルにより設計者を選定した。

そこで我々は、人間のためではなく、生産のためにつくられた空間がもつ特殊さを、新しい豊かさ、創造力をかき立てる舞台として再生させることに重きをおいた。役目を終えた既存ストックを活用し、市民に開かれた場所として再生させるということは、経済性や環境配慮といった側面だけではなく、古きを尊ぶ教育や、歴史性やストーリーをきっかけとした会話のきっかけづくりなど、多様な効果があり、今後の公共空間づくりのモデルケースとなる。

工場独特の空間性や特殊な構造設備などをできるだけ残しながら、まるでビニールハウスのような小屋を工場内部へと貫入させることで、内部へ採光や通風を確保し、構造補強としても機能させている。

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機能としては食品加工工場、マーケット、キッチンスタジオ、レストラン、カフェ、インキュベーターオフィスなどからなり、それらを特徴的な2つのホールが結びつけている。

新築では到底つくることのできない大空間と、まるで現代彫刻のように散らばるかつての工場設備は、古いものを大切にし、新しい価値を加えながら未来へ引き継ぐという木島平村の姿勢を引き継いでいる。

通常の道の駅と異なり、多品目の食品加工工場を中心に、一体運営のマーケット、キッチンスタジオ、レストラン、カフェなどがあるため、施設内で無駄のない食材流通が可能となる。たとえばマーケットで売れ残った食材がレストランの日替わりメニューとして活用されたり、加工工場で乾燥パウダー化されて保存されたりする。工場でつくられた焼きたての米粉パンがマーケットに並んだり、日替わり野菜を使ったジェラードやスムージーがカフェで販売される。また、安定した販路確保を目指し、近隣の学校給食や山間部に住む高齢者への弁当の定期宅配など、施設内に留まらない流通ネットワークを確保している。そしてこういったプロセスが建物を介して「見える化」されることで、新しい農業のビジネスモデルとして内外にアピールされ、農村エリアに住む人々への起業意識を促す。キッチンスタジオやインキュベーターオフィスはそういった人的交流を促す場でもある。

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・GOOD DESIGN AWARD 金賞(経済産業大臣賞)

・JCD(日本商環境デザイン協会)デザインアワード銀賞

・中部建築賞

・AACA(日本建築美術工芸協会)奨励賞