所在地:静岡県牧之原市
用途:複合施設(図書館+飲食施設+物販施設等)
延床面積:2,327.79m2
撮影:高橋菜生

牧之原市立図書館 いこっと / MilkyWay Square

新時代の官民連携公共空間

IMG_0463静岡県牧之原市は2005年(平成17年)に榛原町(はいばらちょう)と榛原郡相良町(さがらちょう)が合併して発足した市ですが、役場の一部を間借りした小規模な図書館しかなく、市民の憩いの場となる新しい図書館を長く切望してきました。そこで新築の図書館を建てたり、新しい駅前再開発ビルに入居するのではなく、限られたコストのなかで、空き家となった民間の大型商業施設(元ホームセンター)を改修し、民間の商業施設と肩を並べてテナントのひとつとして共存することで、新しい官民連携の公共空間となることが計画されました。敷地はスーパーマーケットや薬局が立ち並ぶ郊外型のショッピングセンター内で、駐車場台数は十分に確保しています。鉄骨平屋の700坪程度の空間に対して、約1/3を公立図書館が借り、残りの1/3は地域の民間テナントに小割りにされ貸し出され、残りの1/3が共有スペースとなります。契約管理上、官と民の境界は明確に区分されていますが、来館者にとってそれをいかに感じさせないかが設計の主題となりました。図書館の入り口に壁や仕切りはなく、空間としては大きなワンルームとなっています。平面図IMG_0466IMG_2692
IMG_2697IMG_2710図書館で借りた本は施設内であれば自由に持ち歩くことができ、カフェの客席で本を読むこともできますし、ボルダリングの順番待ちのあいだに図書館で時間を潰すこともできます。昨今増えつつある「カフェのような図書館」ではなく、「図書館のようなカフェ」「図書館のような雑貨屋」といった特徴を施設全体に際立たせるために、キャスターの付いた移動書架を用意し、それが図書館のエリアを超えて民間テナントの前に配置されます。その書架にはそれぞれのお店に関連するような書籍が並べられ、それらは図書館司書によって選書更新されていきます。限られたリソースを活用するために、「官民連携」がさまざまな局面で重要になりつつありますが、それを実現するには常識や固定観念に囚われることなく、ハード/ソフト両面の新しい仕組みやルールを、現場の人たちが積極的に楽しみながら生み出していく必要があります。IMG_7796 IMG_9840